不整脈の疾患
不整脈の疾患
1分間の心拍数をもって「心拍数」と言います。単位はbeats per minuteの頭文字をとってbpmと表記するのが一般的です。
一般的に、1分間に心臓が拍動する回数は60回~100回ですので、正常心拍数は60~100bpmです。
心臓の拍動リズム(調律)が乱れている、心拍数が遅い(徐脈)、心拍数が速い(頻脈)、状態のことを不整脈と言うことが多いです。
心拍数は精神状態や活動状態の影響を強く受けます。睡眠により50bpm以下になる方もいれば、運動により150bpmを超える方もいます。深呼吸をしただけでも生理的に調律は乱れます。よって、59bpm以下または101bpm以上だからといって、不整脈と判断すべきではありません。
不整脈を確実に診断するためには、専門医による検査が重要です。
加齢、高血圧や脂質異常症や糖尿病といった生活習慣病、虚血性心疾患や心筋症による心臓の構造的異常、甲状腺機能異常、肥満、睡眠時無呼吸症候群などが原因であることが多いです。
稀ですが、遺伝性不整脈の方もいます。
代表的な症状は、動悸、胸痛、胸部違和感や不快感、息切れや疲労感、めまい、意識障害などです。各々で感じ方が違うため、不整脈に特化した症状はありません。
心臓の調律、心拍数、心筋の状態などを評価することができます。
心電図を長時間記録する検査です。一般的な心電図と違い、就寝中などにも記録することができます。一般的な連続記録時間は24時間です。
症状が現れたときに装置を作動させ心電図を記録する、携帯型心電計です。
腕時計に内蔵されていることが多いです。自動的に不整脈を検知し記録するもの、イベントレコーダのように症状が現れたときに装置を起動させ心電図を記録するものがあります。心電図やホルター心電図と比較すると少し見劣りする部分があります。
不整脈を分類(種類)ごとで評価し診断を行うことで、治療計画を立てやすくなります。しかし、あまりに細分化しすぎると、治療の選択肢を狭めてしまうので注意が必要です。
不整脈の診断名は、「不整脈を修飾する形容詞」+「不整脈名」の組み合わせで決まることがほとんどです。
主な形容詞として、病的/生理的、有症候性/無症候性、発作性/持続性、弁膜症性/非弁膜症性、致死性/非致死性、上室性または心房(性)/心室性、徐脈性/頻脈性などが挙げられます。
主な不整脈名として、期外収縮、細動または粗動、徐脈/頻脈(頻拍)、脚ブロック、房室ブロックなどが挙げられます。
これらの組み合わせで診断がなされます(例えば無症候性上室性期外収縮、有症候性発作性心房細動、非致死性持続性心室性頻拍など)。いくつもの組み合わせが可能となるので、患者様が混乱を生じないよう丁寧に説明を行うことが大切です。
薬剤には大きく分けて、乱れた調律を正常化させる作用がある、頻脈化した心拍数を安定化させる作用がある、両方の作用がある、の3種類があります。効果または副作用発現の個人差が大きいため、頻回かつ定期的に評価する必要があります。
心房細動など血栓形成が懸念される症例に対して用いる薬剤で、抗凝固薬と言われています。ときに出血を引き起こすことがあります。
心臓内にカテーテルという医療器具を挿入し、問題のある心筋を焼灼(アブレーション)する治療です。おもに頻脈性不整脈が対象となります。発展が著しい分野であり、数年おかず新しい理論や医療器具が登場しています。
| ペースメーカ | 徐脈性不整脈に対して、恒久的に医療器具(ペースメーカ)を体内に留置する治療です。数十年にわたり植え込み経路が鎖骨下に限定されていましたが、医療器具の進化に伴って数年前に鎖骨下を経由しないリードレスペースメーカが登場しました。 |
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| 植込み型除細動器(ICD) | 致死性心室性不整脈に対して、ペースメーカに除細動機能を持たせた医療器具(ICD)を恒久的に体内に留置する治療です。数十年にわたり植え込み経路が鎖骨下に限定されていましたが、約10年前に鎖骨下を経由せず皮下に留置するS-ICDが登場しました。 |
| 心臓再同期療法(CRT) | ペースメーカに心臓機能を改善させる作用を持たせた医療器具(CRT)を恒久的に体内に植え込む治療です。ペースメーカ機能だけを有しているものをCRT-P、ICD機能までも有しているものをCRT-Dと言います。 |
期外収縮
健康診断で指摘されることが多い、生理的不整脈です。自覚症状や心不全症状が出現しない限りは治療の必要はありませんが、無視できないほど頻発する場合は治療を行うことがあります。
心房細動
心不全や脳梗塞の原因として認知されつつある病的不整脈です。加齢とともに罹患率が増加しており、日本における患者数は100万人と推定されています。発作性・持続性・慢性に分類することが多く、それぞれで医療的介入の方法が違います。
発作性上室性頻拍
どの年代でも起こりえる病的不整脈です。薬物では対症療法しかできないため、遅かれ早かれカテーテルアブレーション治療を選択することが多いです。
心室細動
致死性不整脈です。多くが何らかの基礎疾患を有しています。一刻を争う深刻な不整脈です。
洞不全症候群
徐脈性不整脈です。ペースメーカを植え込むことが多いです。
房室ブロック
大きくわけて、1度、2度、3度、高度の4種がありますが、他の不整脈を合併していることも少なくないです。経過観察となる方もいれば、ペースメーカを植え込む方もいます。
少なくとも数か月毎に心電図や採血を行い、治療効果判定や副作用評価を行うことが推奨されます。
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